ドローン空撮のF値は重要?遠景撮影で考える基本
ドローン空撮でF値はどこまで気にするべきか
ドローン空撮を始めると、シャッタースピード、ISO、ホワイトバランス、NDフィルターなど、いろいろなカメラ設定が出てきます。
その中のひとつが「F値」です。
カメラを勉強すると、F値はとても重要な設定として紹介されることが多いです。
たしかにF値は、写真や映像の明るさ、背景のボケ方、ピントが合って見える範囲(被写界深度)に関係します。
ただ、ドローン空撮の場合は、地上で一眼カメラを使う撮影とは少し考え方が違います。
ドローンで撮影するものは、建物全体、街並み、山、海、施設、工場、学校、観光地など、遠くの景色や広い範囲が中心です。
人物や商品にぐっと近づいて、背景を大きくぼかすような撮影は、それほど多くありません。
そのため、F値は知識として知っておいた方が良いですが、ドローン空撮では必要以上にこだわりすぎなくても大丈夫です。
そもそもF値とは何か
F値とは、簡単にいうとレンズから入る光の量を調整する数値です。
カメラでは「絞り」と呼ばれる部分に関係します。
F値の数字が小さいほど、レンズから入る光の量は多くなります。
たとえばF2.8は明るく撮りやすく、背景がぼけやすい設定です。
反対に、F値の数字が大きくなるほど、レンズから入る光の量は少なくなります。
F8やF11のような設定では、背景までくっきり写りやすくなります。
一般的なカメラ撮影では、
・F値を小さくすると明るく写る
・F値を小さくすると背景がぼけやすい
・F値を大きくすると全体にピントが合って見えやすい
・F値を大きくすると暗くなりやすい
このように説明されることが多いです。
ここだけ見ると、「ドローン空撮では遠くまで写すからF11にした方がいいのでは?」と思うかもしれません。
でも、実際のドローン空撮では、そこまで単純ではありません。
ドローン空撮は遠景撮影がほとんど
ドローン撮影の大きな特徴は、カメラと被写体の距離が離れていることです。
・上空から建物を撮影する。
・海や山を広く撮る。
・工場や施設の全体像を見せる。
・観光地の雰囲気を空から伝える。
このような撮影では、被写体との距離があるため、F値を変えても背景のボケ方が大きく変わらない場面が多くあります。
地上で人物を近くから撮る場合は、F2.8とF11で見た目の印象が大きく変わることがあります。
しかし、ドローンで遠くの風景を撮る場合は、F2.8でも十分きれいに写ることが多いです。
実際、機種によってはF値が固定されているドローンもあります。
それでも美しい空撮映像や写真は撮れます。
つまり、ドローン空撮では「F値を細かく調整できるかどうか」よりも、構図、光の向き、天候、飛行ルート、安全な距離感、カメラの動かし方の方が映像の仕上がりに大きく影響します。
F2.8でもきれいに撮れる理由
ドローンのカメラは、F2.8付近で撮影してもきれいに写ることが多くあります。
理由は、先ほども触れたように、撮影対象が遠くにあることが多いからです。
遠景撮影では、背景をぼかすというより、画面全体を見せることが中心になります。
たとえば、上空から街並みを撮る場合、手前の建物と遠くの建物の距離差はありますが、カメラ自体がかなり離れています。
そのため、F2.8だからといって、手前だけにピントが合って奥が大きくぼける、という見え方にはなりにくいです。
また、ドローン空撮では、映像として見たときの印象が大切です。
・どの高さから撮るか。
・どの角度で見せるか。
・どのタイミングでカメラを動かすか。
・光がどこから当たっているか。
こうした要素の方が、F値の違いよりも目立つことが多いです。
もちろん、F値を理解していることは大切です。
ただし、F2.8だから悪い、F11だから良い、という考え方はしなくて大丈夫です。
F11にすれば必ず良いわけではない
遠くまでくっきり写したいから、F値はいつもF11にする。
この考え方も、間違いではありません。
ただし、F値は大きくすればするほど良い、というものではありません。
F値を大きくすると、カメラに入る光の量は少なくなります。
その分、ISOを上げたり、シャッタースピードを調整したりする必要が出てくる場合があります。
また、機種や条件によっては、絞りすぎることで写真や映像のシャープさが少し落ちることもあります。
難しい理屈を細かく覚える必要はありませんが、「F値を大きくすれば必ず高画質になるわけではない」と考えておくといいです。
ドローン空撮では、F値だけで映像の良し悪しが決まるわけではありません。
・明るさをどう整えるか。
・白飛びを防げているか。
・シャッタースピードは自然か。
・ISOを上げすぎていないか。
・ホワイトバランスは固定されているか。
・NDフィルターは必要か。
これらを全体で見ながら判断することが大切です。
背景をぼかしたい撮影ではF値を意識する
ドローン空撮ではF値にこだわりすぎなくていいと書きましたが、F値をまったく気にしなくていいという意味ではありません。
たとえば、被写体に近づいて撮影する場合。
人物、車、商品、施設の一部などを近距離で撮る場合は、F値による見え方の違いが出やすくなります。
F値を小さくすると、背景がやわらかくぼけやすくなります。
被写体を目立たせたいときには有効です。
一方で、背景までしっかり見せたい場合は、F値を少し大きくする方が向いていることもあります。
このときに関係するのが「被写界深度」です。
・被写界深度とは、ピントが合って見える範囲のことです。
・被写界深度が浅いと、ピントが合う範囲が狭くなり、背景がぼけやすくなります。
・被写界深度が深いと、手前から奥までピントが合って見えやすくなります。
ただ、ドローン空撮初心者の方は、最初から難しく考えすぎなくて大丈夫です。
・近くのものを撮るときは、F値によって見え方が変わる。
・遠くの景色を撮るときは、そこまで大きな差が出にくい。
まずはこのくらいの理解で十分です。
※近距離撮影では30mルールにも注意する
F値の話で「設定によって被写体に近づくと背景がぼけやすくなる」と説明しましたが、ドローン空撮ではここで大切な注意点があります。
それは、被写体に近づけて撮影する場合は、30mルールを守らなくてはいけません。
ドローンは、人や建物、車などの物件から一定の距離を保って飛行させる必要があります。
背景をぼかしたいからといって、むやみに被写体へ近づけてよいわけではありません。
特に、人物、住宅、車、施設の一部などを近距離で撮影する場合は、被写体だけでなく、周囲にいる人や近くの建物、車両などとの距離も確認する必要があります。
近距離撮影を行う場合は、F値や被写界深度だけでなく、安全な飛行距離、周囲の状況、必要な許可・承認の有無を確認したうえで判断してください。
ドローン空撮では、良い映像を撮ることも大切ですが、それ以上に安全とルールを守ることが優先です。
ドローン空撮ではF値より現場判断が大切
ドローン空撮で大切なのは、F値を意識しすぎないことです。
「F2.8だからダメ」
「F11だから正解」
「プロなら必ずこの数値」
このように決めつける必要はありません。
ドローン撮影では、現場ごとに条件が変わります。
天気、時間帯、風、太陽の位置、撮影対象、周囲の障害物、飛行できる範囲。
同じ場所でも、朝と昼と夕方ではまったく違う映像になります。
その中で、F値だけにこだわってしまうと、かえって大切なことを見落としてしまいます。
ドローン空撮では、まず安全に飛ばせるか。
次に、何をどう見せたいのか。
そして、映像として自然に見える設定になっているか。
この順番で考えることが大切です。
F値はその中のひとつの要素です。
知っておくべき知識ではありますが、必要以上にこだわるものではありません。
まとめ
F値は知識として知っておく程度で、こだわりすぎない
F値は、明るさや背景のボケ方、ピントが合って見える範囲に関係する大切な設定です。
カメラの基本として、知っておく必要はあります。
ただし、ドローン空撮では遠景撮影が中心です。
建物全体、街並み、山、海、施設など、広い範囲を見せる撮影が多いため、F値による背景ボケの違いが大きく出る場面は限られます。
F2.8でもきれいに撮れる場面は多くあります。
F11にすれば必ず良いというわけでもありません。
大切なのは、F値だけで判断しないことです。
シャッタースピード、ISO、NDフィルター、ホワイトバランス、光の向き、構図、飛行ルートなどを含めて、現場に合わせて考えることが大切です。
近距離で撮影したり、背景をぼかしたい場合は、F値や被写界深度を意識すると表現の幅が広がります。
一方で、通常のドローン空撮では、F値にこだわりすぎなくても十分に美しい映像や写真を撮ることができます。
F値は大切な知識。
でも、ドローン空撮ではそれ以上に、現場を見る力と安全に飛ばす判断が大切です。
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