国家情報法のリスクとプロの防衛策:西澤クオリティ を守る運用術(後編)

query_builder 2026/05/13
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前編では、DJIの機体自体にスパイ行為の技術的な証拠は見当たらないことを解説しました。しかし、議論の矛先は今、技術から「法律」へと移っています。その中心にあるのが、2017年に施行された中国の「国家情報法」です。


この法律の第7条には、「いかなる組織及び公民も、国家情報活動を支持し、協力しなければならない」

という主旨が明記されています。これは単なる協力要請ではなく、中国国内に拠点を持つ企業にとっては、拒否権のない絶対的な強制力を持った命令です。

 



4章:中国「国家情報法」という名の、逃れられぬ法的義務

 

企業努力を無効化する「有事の命令」

DJIがどれほど「ユーザーのプライバシーを守る」と誓約しても、自国の政府から正式な命令が下れば、それに応じざるを得ないのが中国の法構造です。

もし協力を拒めば、企業としての存続自体が危ぶまれるほどの罰則が課せられます。

つまり、現時点でのDJIの姿勢が「善」であったとしても、中国政府の判断一つで、蓄積されたデータが「国家の資産」へと変貌するリスクが常に存在しているのです。

これが、西米諸国の政府が最も恐れているシナリオです。

 

ここが重要:リスクは「今のDJIが悪いことをしているか」ではなく、「中国政府が命令したときに、DJIにそれを断る力があるか」という点ではないでしょうか。



 

5章:プロとして「西澤クオリティ」を貫くためのリスク管理

 

「信じる・信じない」を超えた実務的な防衛策

11年無事故、そしてハイクオリティなフライトを提供し続ける私の立場から言えば、このリスクを前にして「ただDJIを使わない」という選択肢だけが正解だとは思いません。

DJIの提供する安定した機体制御や卓越したカメラ性能は、依然としてハイクオリティな成果物を生み出すための強力な武器だからです。

重要なのは、リスクを「運用」で封じ込めることだと思います。

 

具体的な「データ保護」のプロトコル

私が現場で徹底している、情報漏洩を防ぐための三原則を共有します。


1. ローカルデータモード(LDM)の常時適用

DJIの産業用モデルには、通信をソフトウェアレベルで完全に遮断する機能が備わっています。飛行中、送信機を一切のネットワークから切り離すことで、データの外部流出を物理的に不可能にします。


2. ファームウェア管理のオフライン化

最新のアップデートが必要な場合でも、現場で不用意にネット接続はしません。管理された事務所の専用PCを使い、安全な環境下で検証済みのプログラムのみを反映させます。


3. 飛行ログとSDカードの物理管理

「便利なクラウド同期」は使いません。ログはローカルで抽出し、撮影データはSDカードの受け渡しによってのみ完結させます。利便性を犠牲にしても、お客様の機密情報を守ることこそが「プロ」の矜持です。




6章:安売りしないプロが選ぶべき、これからの機材選定

 

昨今、日本国内でも「国産ドローン」への注目が高まっています。セキュリティを第一に考えるお客様に対しては、SOTEN(蒼天)などの国産機体や、米国の厳しい基準をクリアした「Blue UAS」認定機を提案することも一つの正解です。

しかし、特定のメーカーを盲信するのではなく、用途に応じて最適な機材を選び出し、その機材が持つリスクを自らの技術と知識でコントロールできること。それこそが、プロフェッショナルに求められる「価値」ではないでしょうか。



 

DJIの情報漏洩疑惑は、今後も政治情勢に左右されながら続いていくでしょう。

しかし、我々が守るべきはメーカーの評判ではなく、目の前のお客様の信頼と、自らが作り上げるフライトの品質です。


「西澤クオリティ」は、単に事故を起こさないことだけを指すのではありません。機材の背景にある国際情勢を理解し、法的なリスクまでを計算に入れた上で、運用を提供すること。


本稿が、皆様のこれからのドローン運用の指標となれば幸いです。


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