【ドローン 空撮】ドローンと共に歩んだ10年の軌跡!プロが語る安全飛行と技術の変遷
これからドローンパイロットを目指すあなたへ。
DRONE LEAP代表が語る、2015年からの実体験と安全哲学。
ドローンが「事件」だった時代(2015年)
皆さん、こんにちは。埼玉でドローン空撮事業を手掛ける「DRONE LEAP」代表の西澤と申します。
今でこそ、テレビやCM、建設現場でドローンが飛び交うのは当たり前の光景になりました。しかし、私がこの世界に飛び込んだ2015年当時、世間のドローンに対する目は、今とはまったく異なるものでした。
この記事の執筆時点(2025年)からちょうど10年前、2015年4月。日本中を震撼させた「首相官邸ドローン墜落事故」が起きました。
ニュースは連日この話題を取り上げ、「ドローン=危険なもの」「ドローン=テロの道具」というネガティブなイメージが、日本中に焼き付いた瞬間でした。
世間がドローンという技術に「恐怖」と「疑念」を向けていた、まさにその直後。
当時53歳だった私は、人生を変える「確信」に出会うことになります。
これは、私がドローンパイロットとして歩んできた10年間の記録であり、そして、これから同じ空を目指そうとしている皆さんへ伝えたい、経験から得た「教訓」の物語です。
第1章
53歳の「これだ!」(2015年6月)
2015年6月。官邸の事件からまだ2ヶ月ほどしか経っておらず、世間がドローンに冷ややかな視線を送っていた頃です。私は、あるテレビ番組で息をのむような映像を目にしました。それは、雄大な自然を、まるで鳥が飛んでいるかのように滑らかに、ダイナミックに捉えた空撮映像でした。
「これだ!」
衝撃が全身を貫きました。
直感的に「この技術は、世の中の景色を一変させる」と確信したのです。
それは、単なる「面白そう」という好奇心ではありませんでした。53歳という年齢で、新しいキャリアをスタートすることへの不安よりも、「この新しい視覚体験を、自分の手で生み出したい」という強烈な衝動が勝った瞬間でした。
世間が「危険だ」と叫ぶ中で、私は「可能性」しか感じていませんでした。
しかし、その可能性を「安全な現実」に変えるためには、何が必要なのか。
私の徹底したリサーチが始まりました。
第2章
手探りの4ヶ月間(2015年6月~10月)
「ドローンを飛ばしたい」と思っても、当時は今のように情報が整理されていませんでした。スクールが乱立しているわけでもなければ、YouTubeでノウハウが学べる時代でもありません。
まず私は、インターネットで「ドローン 法律」「ドローン 規制」といったキーワードを徹底的に調べ上げました。しかし、官邸の事故を受けて、まさに規制がこれから作られようとしている過渡期。情報が錯綜していました。
「ネットの情報だけでは駄目だ」
そう判断した私は、航空行政のトップである「国土交通省」へ直接電話をかけることにしました。今思えば無謀だったかもしれませんが、当時はそれが最も確実な一次情報だと考えたのです。
「ドローンというものを事業として飛ばしたいのですが、どのような法律があり、どのような許可が必要になるのでしょうか?」電話口の担当者の方も、前例の少ない問い合わせに戸惑いながらも、当時施行されていた航空法や、今後検討されている規制について、丁寧に説明してくれました。
この時の国交省とのやり取りを通じて、私が学んだこと。それは、「空を飛ぶということは、社会的な責任を伴う」という、重く、しかし当然の事実でした。
この4ヶ月間は、単なる知識の詰め込みではありませんでした。
「なぜ飛ばすのか?」「安全をどう担保するのか?」「これは本当にビジネスになるのか?」
自問自答を繰り返しながら、自分の覚悟を固めていくための、何よりも重要な「助走期間」だったのです。
そして2015年10月、私は正式にドローンパイロットとしての道を歩むことを決意しました。
第3章
手が震えた「初仕事」
覚悟を決めて事業を立ち上げたものの、すぐに仕事が来るわけではありません。
そんな中、私に最初のチャンスを与えてくださったのは、御殿場にあるリゾート施設の会長でした。
ご依頼内容は、「神奈川県山北町にある『箒スギ(ほうきスギ)』の空撮」でした。
箒スギは樹齢2000年とも言われる国の天然記念物です。万が一にも、この御神木にドローンを接触させるわけにはいきません。
撮影前夜。
胸中は、「明日からプロのパイロットだ」という期待感よりも、「絶対に失敗できない」という極度の緊張感で支配されていました。一睡もできなかったことを、昨日のことのように覚えています。
撮影当日。
機材のセッティング、電波状況の確認、風速のチェック。準備してきた手順を何度も何度も反芻(はんすう)しました。
そして、いよいよプロポ(送信機)を握る、その瞬間。
自分の手が、カタカタと震えているがわかりました。
50数年生きてきて、仕事で手が震えるほどの緊張を味わったのは、初めてのことでした。
「落ち着け」「大丈夫だ」と自分に言い聞かせ、深呼吸を一つ。
スティックを倒し、ドローンが地面を離れた瞬間、不思議と震えは止まりました。
モニターに映し出される、荘厳な箒スギの姿。私がテレビで見た「あの視点」が、今、自分の手で生み出されている。
緊張感は「集中力」に変わり、無事に撮影を終えることができました。
納品後、会長から「素晴らしい映像をありがとう」と感謝の言葉をいただいた時の安堵と喜びは、私の原点として、今も鮮明に胸に刻まれています。
第4章
10年間、無事故であることの「意味」
あの日から、10年が経ちました。
DRONE LEAPとして、本当に多くのお客様の「見たい景色」を空から撮影させていただきました。
この10年間で、技術は飛躍的に進化しました。機体の安定性は格段に向上し、障害物センサーや自動帰還機能も当たり前になりました。
法規制も整備され、ライセンス制度(国家資格)も始まりました。
しかし、どれだけ技術が進歩しても、どれだけ法律が整備されても、変わらないことがあります。
それは、「最終的な安全の判断は、パイロット自身が下す」という厳然たる事実です。
お伝えしたい、私の最も誇れる実績があります。
それは、この10年間、「墜落事故も衝突事故もゼロ」であるということです。
これは、決して運が良かったからではありません。
「安全」とは、祈るものではなく、積み上げるものだと信じているからです。
- 天候が少しでも怪しければ、勇気を持って「飛ばさない」と判断すること。
- 機体のメンテナンスを絶対に怠らないこと。
- 飛行計画とリスク評価を、案件ごとに「これでもか」というほど徹底的に行うこと。
- 常に最新の法規制と技術情報を学び続けること。
これらの一つ一つは、地味で、当たり前のことです。
しかし、この「当たり前」を10年間、3650日欠かさず継続することこそが、プロのパイロットにとって最も重要かつ、最も困難なスキルだと私は断言します。
これから空を目指す、あなたへ
この記事を読んでいるあなたは、かつての私のように、ドローンの可能性にワクワクしていることでしょう。
ドローンパイロットは、間違いなく「感動」を生み出せる、素晴らしい仕事です。
だからこそ、皆さんには、私からの10年分の経験を込めて、3つのことをお伝えしたいと思います。
1. 「飛ばす技術」より「飛ばさない勇気」を磨け
素晴らしい映像を撮りたいという気持ちは、時に冷静な判断を鈍らせます。しかし、プロの仕事とは「撮ること」ではなく「安全に、任務を完了すること」です。リスクを感じたら、飛ばさない。その勇気が、あなたと、あなたのクライアント、そして社会全体を守ります。
2. 最初の「なぜ」を忘れるな
あなたは、なぜドローンを飛ばしたいのですか?
私の「なぜ」は、「あの日のテレビで見た感動を、自分の手で生み出したい」でした。この「なぜ」が、4ヶ月間の地道なリサーチを支え、初フライトの震えを乗り越えさせ、10年間の安全運航の礎となりました。あなたの「なぜ」が、困難な時にあなたを支える羅針盤になります。
3. 空への「敬意」を払い続けよ
私たちは、航空法という厳格なルールの下で、特権的に「空」を使わせてもらっています。空は、自分だけのものではありません。他の航空機、地上の人々、大切な文化財。そのすべてに敬意を払うこと。53歳で国交省に電話をかけたあの日の緊張感を、私は63歳になった今も、フライトのたびに思い出し、心に刻んでいます。
おわりに
空は、まだ広すぎる
10年が経ち、私は63歳になりました。
あの日の「これだ!」という確信は、今、「この道を歩んで本当に良かった」という深い実感に変わっています。
ドローンが切り開く未来は、私たちが想像するよりも、まだずっと広く、可能性に満ちています。
空撮、測量、物流、点検、農業、災害救助……。
皆さんが活躍するフィールドは、私たちが始めた頃とは比べ物にならないほど広がっています。
これからの10年を創っていくのは、間違いなく皆さんです。
どうか、安全への強い意志と、空への敬意を胸に、素晴らしいパイロットになってください。
皆さんが、安全なフライトで、世の中に「新たな感動」を届けてくれることを、空の先輩として心から楽しみにしています。
執筆者:
DRONE LEAP(ドローンリープ)
代表 西澤
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